現行法ではグレーといった印象です。
無料で性感マッサージのサービスをしますという多くのホームページでは、性行為に対する対価が発生しないので仕事ではない=営業行為ではないし、売春行為でもないとの主張です。
従って「無店舗型性風俗特殊営業」を警察に届け出る必要もないし、その法律に従う必要もないということです。
法の解釈を自分の都合のいいように説明しているだけで、「合法である」説明をしているところはありませんでした。
違法ドラッグのように、麻薬などに指定されていない薬物だから使うのには問題ないとして乱用を広めるのと同じような感じでしょう。
女性の弱みにつけこんで、違法ではない薬をタダで使わせるかのように、違法ではない無料の性感マッサージと称してセックスをする。
「話題の性感マッサージを無料で気軽に体験してみてください!」
「リピート率9割!」
「1000人以上の実績あり!」
あれですね。効果が科学的に証明されていない健康食品の宣伝みたいです。
手軽にセックスしたい女性にとってはもちろん悪くはないのかもしれません。
ですが、世の中に無料で質のよいサービスがあるのかどうかを考えた方がいいと思います。
有料だからといって質のよいサービスである保証もないのですが、お金を払うことでいろいろと守られることや、お互いの立場・関係を適切に保つことなどが可能です。
無料だから趣味でやっています。風俗店ではありません。
性行為に対する報酬は発生しないので、風俗店の営業ではないという主張について。
確かに無料であれば、そこらへんで行われている一般的な男女間の情事問題というだけであるという解釈もできるかもしれません。
しかしこれも都合のいい解釈でしかなく、「実態がどうであるか」を考えるとやっていることは「性風俗」そのものであるところが多いです。
掲示板でセフレを募集するのとはかなり違います。
特定のサービス(性感マッサージ、オイルマッサージ、セックスなど)を対価に、不特定の相手を募集しているので、そもそもの前提として男女の個人的な出会いから外れています。
何をもって「営業」とするかは難しいところです。
例えば食品の無料配布(試食)などは営業行為ではありませんが、主たる目的がその試食品の販売目的であれば、営業行為となります。
では、その主な目的の食品すら無料で提供するとなったら、営業行為ではなくなるのでしょうか?
バザーやお祭りなどの模擬店の場合、無料の提供であっても「食品衛生法」の観点から保健所への届出が必要です。
食品衛生法は食中毒などの危害を防ぐため、飲食店などに対する法律です。
最近だと生レバーの提供中止などがありましたね。
このように、市民を守るための法律があるので、無料でお祭りで1回やるだけの場合でも、届出はちゃんとしてねってことです。
ちなみにこれは「特定の利用者へ特定の範囲内」で食品を提供する場合です。
「不特定多数の人を対象としたり、反復継続しておこなわれる場合は「業」となり、届出ではなく営業許可の対象となる場合がありますのでご注意ください。」
という注釈が模擬店の出店に関する自治体のホームページに書いてあります。
つまり、不特定多数の利用者へ食品の提供を継続して行う場合、無料でも営業行為となるかもよ?ってことです。
友人知人にだけ食事を提供するのはもちろん何の問題もないです。
仮に不特定の利用者へ食事を無料でどうぞとやっても、あまり困る人間はいないので実際なにも困りません。
しかし、万一食中毒などの危害が発生した場合、当然無許可なのだから「気をつけていた」なんて言い訳は通らないし、その責任はかなり重いものになるでしょう。
重要なのは、違法かどうかではなく、責任がどこにあるかです。
妊娠したり性病にかかってしまった場合、責任をもった誠意ある対応を本人に求めるだけではなく、本人が無責任に逃げた場合、第三者に対しても責任が相手にあると堂々と主張できますか?
相手が無料だからこれは仕事じゃないっていう建前はつまり、あなたとの関係は個人的な男女関係であるといういい訳に繋がっています。個人的な関係だから責任は半々だとか、こっちに何の責任もないと主張される可能性があるということです。
これを性風俗に置き換えて考えると、性風俗の場合は犯罪の温床とならないように厳しく定められていますよね。
児童への売買春、管理売春などの犯罪行為が起こらないようにするためです。
では無料で不特定多数の利用者へ性サービスの提供が、届出なしで何も問題がないとなると、極端な話しですが、「女性と無料でセックスし放題!!」っていう男性向けの風俗店が出来ちゃいます。
で、実態として無料で不特定多数の男性とセックスしたい女性は多くはないので成り立たないのですが、裏オプションでホテル代として実費より高い報酬を得たり、チップとして報酬を得たりできてしまうという売春行為の温床になる可能性が高いわけです。
なのできっと男性向けの無料風俗店なるものがあったとしたら、警察から取調べを受けるでしょう。
でも、女性向けの場合は世の中への認知度の低さと、店舗側がほぼ一人であり管理売春というような重大な犯罪の可能性が低いことから、警察からスルーされているというのが現状だと思います。
無店舗型性風俗特殊営業の届出を出すのは、自分は犯罪行為をしないという、覚悟を示すことと、監視の目を自らに向けて戒める意味もあります。
あくまで個人の趣味の範囲?売春にあたるかどうかについて
ホテル代も交通費も1円も必要がないというところは売春にあたらないと思います。
ですが、上記で説明している「風俗営業」に当たる可能性や、ホームページの内容次第では公序良俗に反するかもしれません。
金銭対価ではなくても、継続して行うために写真撮影を求めたとか、何らかの対価を受けている時点で、趣味とは言い難いと思います。
ちなみに未成年に対する売春行為はもっと明確で、金銭対価がなくても、食事や寝泊りすることを条件に性行為をしたことが明らかな場合は、児童買春で捕まります。
これは対価を直接現金でもらったのではなく、食事というものが、間接的に金銭的な対価として考えられるからです。
例えば数万円のブランドものの服やバッグをプレゼントしただけで、現金は渡してない!って言っても明らかにそのブランド物が現金の代わりになってますよね。
上記を踏まえて、マッサージ代は無料だけどホテル代や交通費などを請求しているところも多いので考えてみます。
ホテル代や交通費は性行為の対価に当てはまらないという解釈です。
確かにホテル代は場所代であって、性行為に対する対価ではないように思いますが、ネットで知り合った不特定の女性をホテルへ連れ込んで、性行為をせずにスクワットでもしてるというのでしょうか?
ホテル代や出張費が発生するのは、明らかに性行為のためです。
性行為を目的に発生した費用を女性に支払わせるのだから、十分に営利目的(自分がホテル代などの出費をせずに済むのだから、その分利益になっている)です。
無店舗型性風俗特殊営業の届出を出している店舗と、出していない趣味の人を比べるとこんな感じです。
「無店舗型性風俗特殊営業の届出をしている変態は、SMバーとかストリップ劇場など許可のある範囲で、露出している変態」
「無店舗型性風俗特殊営業の届出を出してない変態は、その辺の道路で露出して『趣味だから関係ないだろ!』って開き直ってる変態」
どっちが安全で「本当に一緒に楽しめるか」はすぐわかりますね。
なんやかんやと理由をつけて無料で性感マッサージをしますと書いてありますが、その本当の理由は、有料サービスにしてしまうと「本番(挿入)」ありと堂々と言えないからです。
セックスしたいというのが主目的なので、「女性のために」というのはその次か、ただの客寄せのための嘘です。
僕とセックスしてくれる女性を募集してます!っていうのを、言葉巧みに言い換えているだけの姑息な方法をとる人間がやっているということを知っておくべきです。
ちなみに、無料で性的サービスを受けたい女性は恐らく潜在的に多いのでこのような事態が起きる原因でもあります。
なぜ自分の性欲に対してお金を使いたくないのか。
それはまだ女性が自分の性欲を認められず、隠匿されるものという社会的な心理や、自己価値の低さなどがあります。
男性向けの風俗が多い上に、売春も女性が性を売る立場が圧倒的に多いです。
なので女性は自分の性に対しての価値観を無意識に「自分の性欲のためにお金を払うなんて、普通の女性と違ってとても惨めだ(風俗嬢や売春している女性の方が自分の価値を高く売っているので女性として価値が高い)」と感じてしまいます。
はっきり言って歪んだ認知です。
本来、自分を満足させるために有料サービスを受けるのはごく当たり前のことなのに。
詳しくは過去の記事でも言及していますので、こちらもどうぞご覧ください。
追記:
「わたしは所轄の警察署の担当者に確認を取りましたところ、無料であるならばそれは営業行為に当たらないとの回答を得ております。
また、営業行為にあたらないので無店舗型の届出も必要ないとの回答も得ております。」
とのご意見を匿名でいただきました。
問題なければそれでやればいいと思います。
私は趣味でやっていますって言えばいいだけなので、プロでやるかアマでやるかの違いだけです。
この記事で述べているのはあくまで僕の個人的な考察にすぎず、無料でのマッサージで危ない目にあったという話を何度か聞いたことがあるため、「注意喚起をする」ということが主な目的です。
重要なのは、違法かどうかではなく、責任がどこにあるかです。
したがって、無料の性感マッサージが法的にどうなのかということに対する議論は意味がないのでいたしません。
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