「風俗が異世界」だった昔の僕と、「風俗が日常」になった今の僕

「風俗が異世界」だった昔の僕と、「風俗が日常」になった今の僕

女性用風俗の仕事をしていますが、僕自身は風俗未経験です。
男だから興味はもちろんありましたが、利用したことはありません。

だからこそ、風俗を利用することへの抵抗感や罪悪感、そして不安などがよくわかります。
僕がホームページで女性の気持ちに寄り添った案内をしたり、ブログで言葉を紡ぐことができるのも、「自分自身が風俗未経験」だからこそだと思っています。

今回は、「風俗が異世界」だった昔の僕と、「風俗が日常」になった今の僕が思う、「日常と非日常の境界線」について話してみようと思います。

【あなたの日常とはどんな世界でしょうか?】

 

まず、僕が風俗へ行かなかった理由について。
いろいろありますが、一言でいうと「純粋でいたかった」のだと思います。
乙女ですね。
一方で、早く経験したいと思っていたし、AVをみてオナニーをした後は「なにしてんだろう…」という虚無感のようなものも感じていました。

「ロマンチスト」といえば決して悪くはないのかもしれませんが、白馬の王子様症候群( シンデレラコンプレックス)のようなものだと思います。
・いつか、自分のことを愛してくれる人が現れるはずだ。
・孤独から救ってくれる人がいるはずだ。

そんな幻想を抱きながら、日常という目に見えない檻の中で生活をしていただけなのだと思います。
自分から抜け出さなければ届かないはずなのに、理想の世界が向こうからやってくるものだと思いたかった。
幻想の中にいれば、傷つくことも、後悔することもない、平和な世界にいられる。
無価値で無意味な幻想だと、本当は知っているはずだけど、そこから目を逸らし、こんな自分を好きになってくれる人なんていないだろうという絶望感に負けないように。

仕事は真面目に頑張っているつもりだけど、女性と仲良くなれるどころか、同性の友達もできない。
お酒も苦手で飲み会も気が進まず、他人と深く付き合うということが、そもそもよくわかっていませんでした。
今思えば、コミュニケーションがどういったものなのかを知らずに婚活をしても、そりゃ相手の印象にすら残らないでしょう。

まさに、「日常に埋没した生き方」です。

純粋でいたかったと願いつつ、その純粋さとは「本来の自分のもつ純粋さ」ではなく、ただ単に「純粋さとはこういうものだ」という先入観に縛られたものでしかありません。
風俗が不純なもので、風俗へ行かないことが純粋だなんて、いったい誰の価値観でしょうか?
「不純異性交遊」ってなんでしょうか?
自分の欲求に蓋をすることが、純粋なのでしょうか?
目を逸らして幻想の中で生きることが純粋なのでしょうか?

 

多くの人は、そうして自分の心の声を無視して日常という檻の中のぬるま湯に浸かって生きているため、つまらなく感じたりしますが、同時に安心感や安定を感じるので、退屈を感じながらもその日常を大切にします。
そして、退屈やストレスを発散・解消するために、旅行へ行ったり、カラオケにいったり、自分の好きなことや、普段しないことをしてバランスを取りながら生活しています。

いわゆる、「夜の世界」というのは、関わりのない人にとっては、非日常です。
ところが、その世界で働いている人や、よく利用する人にとっては、日常でもあります。

住む世界が違うのだから、その日常と非日常の境界は当たり前のことなのかもしれませんが、僕自身が働き手になって思うのは、「え?分ける必要あるの?」という感じです。

”国境や人種の違いのようなものでしかない”と思います。

あなたの日常は、誰かにとっての非日常で、
誰かの日常は、あなたにとっての非日常。
ただそれだけです。

 

例えば、世界中を旅したことのある人は「国境なんてたいした境界ではない」と感じるでしょう。
一方、普段地元から出ない人は、駅前に行くのも怖かったり、一人で遠出をすることに不安を感じるでしょう。

そのくらい、日常や非日常なんていうものは曖昧なものだし、境界線なんてあってないようなものです。
線引きは自分のもつ先入観や固定観念、そして今生きている自分自身が作り出したものです。

もしも、今自分のいる世界が「息苦しい」「楽しくない」「逃げ出したい」「合わない」「もっと好きに生きたい」などと感じるようなら、その日常から別の日常を探してみたほうがいいです。

境界線はどこにでもあるし、どこにもありはしません。

 

以前、ブログでバンジージャンプしたことも書きましたが、僕は高いところはわりと平気なので、バンジージャンプもそんなに躊躇わず跳べると思っていました。
ところが、ジャンプ寸前のところに立つと今まで感じたことのない恐怖が全身をかけめぐり、本能が命の危険を知らせます。
そのあちら側への境界線はとても恐ろしい。
でも、そこに立ち、跳ばなければ分からない感情や経験があります。
もしかしたら本当にあまり怖がらず跳べたかもしれないし、怖すぎて跳べなかったかもしれない。
そんな曖昧なものです。自分自身のことなんて。

僕は風俗の世界へ飛び込みました。
そこで自分らしさというものを見つけつつあります。
この仕事をしていることを恥じず、檻の中の日常ではなく、どこまでも「自由な日常」の世界で生きていく。

コミュニケーションの本質も、お互いの「ぬるま湯」の日常の当たり障りのないやりとりではなく、お互いの日常と非日常を確かめ合い、そして尊重することだと思います。

あなたの日常を教えてください。
どんな些細なことであっても、僕にとっては非日常のお話です。

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